注意事項と3次元データの共有について

〇注意事項

3次元データのサイズによっては、高額な通信費用が発生します。Wi-Fi接続状態のスマートフォンまたは定額回線でのPCブラウザでの閲覧を推奨します。

〇横穴式石室/横穴墓の3次元データを使用してみたい方へ

古墳や横穴式石室/横穴墓の3次元計測を行った記事は見つかるものの、取得データ自体に殆どアクセスできない3次元データ。レーザーやSfM/MVSと比べ粗いデータではありますが、使用してみたいという方がいらっしゃいましたらご連絡ください。ただし、管理者/自治体との契約により、利活用が制限されている場合があります。

〇横穴式石室/横穴墓の3次元データを引き継ぎたい方へ

個人の3次元データではありますが、複数の要因で立入ができなくなった横穴式石室/横穴墓が多くあります。今後、個人でのデータ管理が行えなくなる/デジタル遺品化することを考慮し、データ相続先の研究者さん団体さんを緩く募集します。

記事への秘匿コメント、Sketchfabアカウントへのメッセージ、ストリートビューの公開アカウントなどお好きな手順でご連絡ください。





2015年8月30日日曜日

写真撮影許可と3次元測量などの新技術の不許可

合戦原遺跡での学芸員さんとのやり取りでかなり気になっていることがあるので、徒然と記事にしてみました。


合戦原遺跡に限らず、遭遇する写真撮影OK。


写真撮影はOK

本来、写真撮影NGであったものがOKなるなど変わってきているものもありますが、
この許可にどういった内容が含まれているのかなかなかに頭を悩ませられます。


○著作権とか法律関連
大抵、撮影した写真は撮影者が著作者になります。
インターネット上の公開や改変さらに販売といったもろもろが著作者に付帯すると考えられるのですが、博物館などでは撮影した後の取り扱いになんらかの制限をがかかっているかのようなお話を聞くことがあります。クリエイティブコモンズのように、管理者が何に使って良いと考えていて、なにに使って欲しくないと考えているのか一目瞭然のマークでもあると良いのですが。
(考古資料の場合著作権は切れていると考えられるので、管理者としています)


特に私人で管理/保管しているものをむやみに公開/改変/販売したりすると、法律的には問題は無くても感情的な問題が発生して公開されなくなることもあるようなのでより注意が必要なようです。



○技術的なこと?
写真撮影OKでも全天球写真はNG
この回答を聞いたとき、頭の中は””でいっぱい。
一生懸命考えて”写真撮影”から可能なことが”写真撮影OK”には含まれていないのではというところに行き着きました。

つまり、OKとなっているのは
カメラで撮影される長方形なりの写真だけ。

撮影した写真から、3次元モデルを作るのはだめ
撮影した写真やカメラで、全天球写真を作るのはだめ
(パノラマはいい!?)


特殊機材を使わないものでも、ここ1ヶ月ぐらいでも自分が気になる以下のような”写真を使った新技術”が出てきています。
片方はThetaで撮影する簡易測量が出来てしまうソフトウェア(Thetaのハッカソンで受賞)
もう一つは、スマホのカメラで3Dモデルの作成(類似技術はあるが、全天球写真合成でもすごいのできたMicrosoftResearchなので期待大)






※開発した会社から制限有ですがソフトをDL出来ます。






※福岡で10月に行われる国際会議で発表されるようです。



ある自治体さんからは、”記録する新技術にどのように対応すればよいか分からない”というかなり本音に近いと考えられる回答を頂いたこともあります。

最近のSNSやドローンと同じように
ルール作りが追いついていない、
ルールが必要かもまだ分からない
といったところでしょうか。


引き続き、調整しながらの見学になりますが、自治体さんとの調整内容もなかなかに面白い研究になるかもしれません。








2015年8月24日月曜日

広島県_福山市_田上第2号古墳(Ver1.0L)



 3Dモデルを閲覧できない場合はSketchfabの使い方_3Dモデル閲覧_その1を参照して確認してください。




※尾市1号古墳を目指している途中に雨に見舞われ、急な山道ということもあり断念。尾道に抜ける途中で田上第2号古墳を発見。雨天時に傘を差しながら3Dスキャンするとどのような感じで作成できるのか試して見ました。

雨天程度の照度になっていれば、天井が無い石室でも記録が出来ることがわかりました。
天井なし横穴式石室では初の3Dモデルとなります。
照明を使用していないので、色味が均一で実際の現場に近い印象です。

2015年8月19日水曜日

福岡県_久留米市_善院古墳群4号墳(Ver1.0L)



※久留米市にある善院4号墳。
床面としてはずいぶん細長いにもかかわらず、高さは4m越え。前室との差が際立ちます。
後室は赤色顔料で赤め。
祭壇のお花の色も鮮やか。大切にされているようです。


個人のお宅の庭先にあるため、ストリートビューは無し。場所も久留米市としています。

2015年8月16日日曜日

岡山県_総社市_緑山古墳群6号墳(Ver1.0L)




※吉備3大石室などと比べると異なる趣のある緑山古墳群。古墳群内でのバリエーションもあり、そのうちの6号墳のみを今回3Dモデル化。再訪して4号7号8号あたりも3Dモデル化したい古墳群ですね。

2015年8月12日水曜日

Pix4Dmapper_高画質全天球写真撮影の副産物

たまに3Dモデルの例として上げるPix4DMapperで出来たコンテンツ。
このPix4DMapperというアプリケーションですが、最大の特徴は画像ファイルから3Dモデル(点群データ)が作成できるという点です。古いバージョンではUAV(Drone)から撮影した地上を3Dデータ化するだけでしたが、Mapperになってから地上からの撮影画像も解析/3Dデータ化できるようになったようです。


お気に入りなので、以前とまったく同じものをあげています。(音が鳴ります)
注目すべきは・・・
撮影に4時間しかかけていないこと(人数は?)
6200枚程度の撮影で出来上がっていること
ソフト以外の機材は日本でも個人レベルで買えちゃうもので出来ていることなど。
初めてこの動画を見つけたときには、画像解析だけでここまで出来るものなのかと驚愕しました。
(原理的には軽自動車の衝突防止装置→複眼カメラで距離測定と同じもの)







体験版(作成まで出来るが3Dデータとしての出力が出来ない)をインストールしていたので、たまに試していたのですが、設定が悪いのか/写真の撮影が悪いのかなかなか目的のものには近づかず。今回だめもとで伊勢塚古墳の写真を解析させてみると、かなりそれっぽいものが出来上がりました。

伊勢塚古墳玄室 主に玄室中央付近(上下逆転)


解析した写真は全天球写真作成に使用した400枚すべてですが、主に3D化されたのは撮影ポイントから近い側壁および天井/床面になっています。長辺方向(奥壁/玄門)が3D化されていませんが、ほぼ同一箇所から撮影しているのが悪いのかもしれません。撮影箇所から1m程度内はよく出来ているので、あと4箇所ほど撮影すれば写真だけで3Dモデルの作成が出来るかもしれません。


ただ、このソフトは個人レベルで使用するには高価で1ヶ月ライセンスでも4万円しますし、PCの推奨条件もちょっと普通のパソコンレベルではありません。(我が家のパソコンCorei7/メモリ8G/グラボが最低条件)まぁ、出来ることが確認できただけでもよしとしましょう。


かみつけの里博物館で公開されている保渡田古墳群二子山古墳3Dモデルは、このソフトで作成されたのではないかなぁと想像してます。



2015年8月9日日曜日

福岡県_久留米市_浦山古墳(Ver1.0L) 浦山古墳石棺奥(Ver1.0)





※自分が3D化した石室の中では最古(5世紀中頃)
石棺は内壁に直弧紋を配するもので、狭いながらも何とかスキャンできました。
奥側を精度重視の6分割で撮影したので結合が難しくなり、
奥壁全面に線刻がある場合などの課題です。

2015年8月7日金曜日

Thetaの手軽さを極限へ

前々回、超高品質全天球写真の作成に成功し、ストリートビューにThetaと比べて格段の品質で登録できるようになりました。これでThetaはお役ごめん・・・というわけではなく基本的には手軽なThetaで撮影することを継続します。ですが、強みをさらに強化ということで三脚や隠れて撮影ということすらも行わなくて良いように、グッズを考えてみました。



TV番組でGopro(小型カメラ)をつけてるヘルメットを多用していますのが、そのTheta用版といえばよいでしょうか。

使ったもの
・ゴリラポッド(自由度の高い小型三脚)
・ヘルメット(1000円くらいのもの)
・ヘッドライト用バンド
・ヘッドライト用バンド取付金具
バンドに三脚の足先を巻き込み、バントをヘルメットに固定するという形で構成。
ガムテープや接着剤で繋がっているわけではないので、分離しての使用も可能。

そんなヘルメットをかぶれば自律思考二脚の完成です。

シャッターを押す手も入ってしまうので、インターバル5秒で撮影開始。
古墳の周囲、上れる場所を周ればストリートビュー用の全天球写真が撮影できることになります。


今回、Theta高密度ストリートビューの餌食になったのは保渡田古墳群_二子山古墳。
(かみつけの里博物館に確認。ちゃんとした会社が空撮を使用した3Dデータ化をしていて、博物館で公開されています。群馬県もデジタルデータ化に着手してきたのかな?)

下の画像は、ストリートビューの設定画面。
73枚の全天球写真は、周提や中島を含むとはいえ過去最大の枚数。
(古墳1基の枚数最大は壬生車塚14枚、群では奈良古墳群の24枚)
これでも1/7程度に間引いての登録です。





















作ってみた/使ってみた感想。
・天頂の登録が微妙で水平がおかしい全天球が撮影される場合がある
姿勢を正しくしていても、やや猫背で背中が写っていますがそれ以上に水平がおかしい写真が撮れています。歩いてる途中のずれ、もしくはスマホからなんらかデータをもらっている?

・視線を下に向けられないので、歩行に注意が必要
ヘルメットの上に固定している関係で、視線を向けるとそちらに傾いた全天球となります。
インターバルの間に動く達磨さんが転んだ方式もしくは撮影した物の中から良いものを選抜すればよいでしょう。

・虫が飛んでくる・・・
予想以上に植物と思って虫が飛んできます。次回同様の撮影をする場合には、虫除けを塗りこむ、虫のいない時期の撮影となるでしょう。

・データの転送を行わなければThetaの電池は持つ
500枚程度を撮影しましたが、Thetaの電池は持ちます。この後のデータ転送で空っぽ。撮影に専念すれば、周提帯付の100m超の古墳撮影1時間程度は問題ない印象です。


・ちょっぴり恥ずかしいです。
まぁ・・・




Google社がストリートビュー撮影に使用する”トレッカー”という機材がありますが、それをさらに簡易版にした印象です。ちゃんとしている団体でであればトレッカーを借用してストリートビューを登録できるはずなので、画素数も高い(7500万画素)そちらを利用したほうが良いかと思います。機材を数そろえたり、撮影場所が多いというのであれば、Thetaを使ったこのような現状撮影もありかと思います。

なお、全天球写真の上?全天球動画を撮影できるTheta m15もありますが、撮影時間が5分と短いためピンポイントもしくは小型の古墳に限られます。全天球動画で古墳(墳丘重視で)を記録する場合には、二時間以上準全天球動画の撮影できるマスプロ社のSP360のほうが適しているのではないかと思います。





2015年8月1日土曜日

宮城県山元町合戦原遺跡現地説明会に行く

7月25日 宮城県山元町の合戦原遺跡第二回現地説明会に参加してみました。

貴重な線刻横穴墓ということもありますが、あまり現地説明会に参加したことが無いので後学の為ちょっと遠出です。

開通した常磐道をつかうとずいぶん早く到着したので、準備にいらっしゃった学芸員さんに写真撮影/全天球写真撮影/3次元測量等してもかまわないか聞いてみたところ、写真を除き×。現地説明会という忙しいなかでの個別対応は、やはり難しそうですね。

3次元測量はちゃんとした会社さんが入っていることなので、どこまでの範疇で3D化されるか分かりませんが出来上がりに期待しましょう。


横穴墓の見つかっている地域はA区とされていますが、地形に合わせ4つのパノラマ写真を作成しました。昨年調査の西側(さらに東西)、今年調査の東側(南北)に便宜上分けています。


まずは、線刻画の見つかっている区域 A区H27年度調査範囲北側


カラーコーンの並んでいるのが38号墓と墓道を共有している37号墓(右)39号墓(左)
左側の長い墓道が48号墓になります。
固めの地層と砂岩になりきれてない地層の境目くらいに造営されていることが多く、上下に造営されるパターンがほとんどありません。当日は時々雨が降っていましたが、写真の下側を見てもらえば分かるように流れ出した雨水が泥のようになっています。



入室は出来ないので、今回見学した方の写真はほぼ同じ感じだと思います。
事前に画像を見ていたので概ね分かりますが、気になるのは右側中段より下の穴?や平らにしようとした?跡。左側とずいぶん差があり、なんらかの意図があったのではという印象を受けました。


A区H27年度調査範囲南側


正面が51号墓。
地層の濃淡が分かりやすく、二層を又いて造営されていることが分かります。




A区H26年度調査範囲東側
左の墓道を持つ横穴墓が6号。
水平方向の造営。東側に向け地層に沿って下がっていっている状況。
寄棟式の横穴墓は写真右側。




A区H26年度調査範囲西側
写真道端に保管されている石が閉塞石。


お昼からの炎天下の中、400人を越える方が見学されていたようです。集団移転先ということでなかなか保存は難しいと思いますが、遺跡があったという記録はしっかりと残して欲しいものです。



見学者さん(学者さん?)の話などを聞いてて思ったこと。××地域のものと似ているという情報がどうしても人間の記憶に頼ってしまう点。学芸員さんもいろいろな年代の調査がありますから、よほどクリティカルにその時代に注力していなければ、仮に類例があったとしても見逃してしまいます。データが集まっていることが前提となりますが、横穴墓の3Dデータを1時間ほどでとる→データベースと比較し形状などの類例を検索するなどのことができれば技術伝播や年代想定が多少楽になるのかぁなと思います。