注意事項と3次元データの共有について

〇注意事項

3次元データのサイズによっては、高額な通信費用が発生します。Wi-Fi接続状態のスマートフォンまたは定額回線でのPCブラウザでの閲覧を推奨します。

〇横穴式石室/横穴墓の3次元データを使用してみたい方へ

古墳や横穴式石室/横穴墓の3次元計測を行った記事は見つかるものの、取得データ自体に殆どアクセスできない3次元データ。レーザーやSfM/MVSと比べ粗いデータではありますが、使用してみたいという方がいらっしゃいましたらご連絡ください。ただし、管理者/自治体との契約により、利活用が制限されている場合があります。

〇横穴式石室/横穴墓の3次元データを引き継ぎたい方へ

個人の3次元データではありますが、複数の要因で立入ができなくなった横穴式石室/横穴墓が多くあります。今後、個人でのデータ管理が行えなくなる/デジタル遺品化することを考慮し、データ相続先の研究者さん団体さんを緩く募集します。

記事への秘匿コメント、Sketchfabアカウントへのメッセージ、ストリートビューの公開アカウントなどお好きな手順でご連絡ください。





2015年2月27日金曜日

モバイル3Dスキャナでスキャンした石室3Dモデルの測量精度はどのくらい?

今更ですが、作った石室3Dモデルの測量精度ってどうなんだろう?と思い立ちました。
スキャナで取得してデータに縮小をかけていないので、公開しているものは全て1/1モデルです。
10mを超えるような大きな石室を編集していると、編集領域からずいぶんはみ出たりするので大まかにはあっていると思いますが、果たしてどうでしょう。
早速、計測してみました。


3Dモデルの結合や最終的な調整に使用する3Dモデリングソフト”Blender
このソフトの機能に2点間の測量をするものがあります。
この機能を使用して、前回公開した千畑古墳について測量してみます。

立て看板の説明と西都市の解説ページから
玄室長 4.9m
玄室高 2.8m
という箇所を測量してみます



この玄室長、玄室高という二箇所を選択した理由は、この千畑古墳の石室3Dモデルが2回のスキャンの結果でできているためです。玄室高は、1回のスキャンの誤差。玄室長は2つのモデルを連結しているので、スキャンの誤差+手作業による連結誤差となると思います。


○玄室の高さ


玄門側床視点から奥壁方向





















奥壁手前の床面からできるだけ垂直に天井まで二点を設定してみると、
2.85411m

高さ方向以外のX,Yもそれぞれ13cm、3.5cmずれがあるので完全な垂直ではありませんが、説明の2.8mと大きく離れているわけではなさそう。




○玄室の長さ

床下からの視点で床面プラン





















玄門の袖石が微妙にずれていてどちらを基準にしようか迷いました。
(説明ページでも一直線にはならんでいない)
結局、右側袖石の玄室側表面から奥壁までほぼ床面の高さで測量してると、
4.94875m

こちらも長さ方向以外のズレが2cm3cmありましたので完全な長さではありませんが、説明の4.9mから数十センチで離れているわけではなさそう。
側壁石材がちゃんとマーカーになってくれたおかげでもあります。


大体このスキャンを実施するのに約30分、データの整理や結合したりするのに1時間。
このくらいの誤差?こんなに誤差?
測量技術をお持ちの測量士さんや学芸員さんはどう考えるのでしょう。


むしろ今回、玄室長といわれて
どこからどこまで測るのが正しいんだろう?
なんていう、そもそもが分かっていない事に気がつかされました。
(千畑古墳も奥壁が微妙にせり出してきているので、高さ1mだともう少し短くなる。)


関東近辺でちゃんとした石室測量を見学させてくれる埋文さん教育委員会さん募集中です。

2015年2月24日火曜日

宮崎県_西都市_千畑古墳(Ver1.0L)


 3Dモデルを閲覧できない場合はSketchfabの使い方_3Dモデル閲覧_その1を参照して確認してください。



※同じ九州でも宮崎県だけなんだかスタンダード
(地下式横穴墓はいっぱいあるけど、開口石室は少ない・・・)


2015年2月21日土曜日

福岡県_八女市_童男山古墳群12号墳(ビューのみ)



※全天球写真撮影を一回りしてかえってきたあとに立ち入り禁止の規制線が張られてしまい3Dのデータはありません。
駐車場近くの分かり易い古墳なだけに残念です。

2015年2月18日水曜日

記録系ガジェット_Occipital社_Structure Sensor

持ち運べる3Dスキャナーを実現したOccipital社_Structure Sensor 。
2013年の秋ごろ、クラウドファンディグサイトのKickstarterで持ち運べる3Dスキャナが出資を募っているということで早速資金投入。


どんなことができるのかは、プロモーションの動画を見て頂いたほうが早いと思います。


 


物体/人体のスキャンとNUI(手や体の動作でコンピュータを操作)に期待して届くのを待っていましたが、届いてみると予想以上に部屋測量の精度が高いこと持ち運びできることが古墳の石室形状を取得に便利であることに気がつきました。


特に重要な要目だけ下に抜き出してみました。
測定できるのは40cm~3.5mくらい。
3m離れると30mm、40cmはなれたところでは0.5mmの正確さがあるらしいです。

Minimum Distance40 centimeters
Maximum Distance3.5+ meters
Precision0.5 mm at 40 cm (0.15%), 30 mm at 3 m (1%)
ResolutionVGA (640 x 480) / QVGA (320 x 240)
Framerate30 / 60 frames per second
Battery Life3-4 hours of active sensing, 1000+ hours of standby
IlluminationInfrared structured light projector, Uniform infrared LEDs


ただし、実際にはモバイルなのでスキャナ自体が動きますし周りの環境にも左右されます。
使用した感じからはセンサー単体もしくは良環境と完全な固定のときのみの数値という印象です。
小型の石室(上福田岩屋古墳や岩橋千塚古墳群前山A99号墳)などが綺麗に3D化できているのはこの測定レンジにマッチしているためといえます。

より詳細な機器のデータはOccipital社のこちらのサイトです。



さて、Kickstarterのファンディングも成功を収め、”Skanectというスキャンデータを処理するソフトウェアもおまけでついてきました。この”Skanect”とサンプルでついてくる”RoomCapture”がスキャンした結果を処理する肝となります。



○詳細なスキャンをしたいときの”Skanect”

サンプルアプリのRoomCaptureよりはるかに詳細な設定/編集が可能ですが、PCを必要とするネックがあります。ハイスペックノートPCである必要は無いですが、タブレットや安いノートだとおそらく動きません。(MacbookAir2013midを使用)
また、取得できるデータサイズがギガバイト単位となるため自宅の編集環境もそこそこの容量が必要となります。


機器/ネットワーク構成
WAN機能付iPadmini+センサー-Wi-Fi-PC(iPadをネットワーク共有)



















ある石室を取得したときのセンサーの軌道です。
通常の3Dスキャナは固定しますが、このSkanectを使用するとジャイロや地磁気などセンサーをフルに使用して3Dスキャナの位置を推定します。この加速度データ等が消費する容量の大半です。

SKANECTのサイトはこちら。


○とにかく簡単に 時間が無いときの”RoomCapture
3Dスキャン⇒できたモデルをメールで自宅に送付という非常にシンプルな構成です。
その分設定可能なのは大まかな測定距離のみとなること、精度が大きく落ちるので2つ以上のデータを結合するときに苦労します。(Skanectだと落ちている石や側壁石材が目印になる)
その場で2点間の計測もできるので測量データの無い石室でもなかなか便利。


機器構成
iPadmini+センサー



















ある石室を取得したときのテクスチャデータです。
こちらと3Dモデルデータ(objファイル)がメール添付されます。
サイズは概ね3MBytes以下です。
バージョンに”L”がついている石室はこちらを使用して作成しています。

Apple社のAppstoreでRoomCaptureで検索すれば出てくるかと思います。
(もしくは、Structure SensorのTOPページ



最後にお値段ですが、
Structure Sensor:$500+送料+関税
Roomcaputure:無料(センサーがないと動かない)
iPad:7万円くらい?
ここまでが最小環境

Skanect:130ユーロ
ノートPC:13万円くらい

価格的なハードルはありますが、測量士や3Dスキャナの詳しい方からするとずいぶん手の届くお値段とのことです。


実際の使い方や注意点などは別途記事にする予定です。

2015年2月16日月曜日

徳島県_美馬市_棚塚古墳(Ver1.0)


 3Dモデルを閲覧できない場合はSketchfabの使い方_3Dモデル閲覧_その1を参照して確認してください。



※太鼓塚古墳とこの棚塚古墳では回転誤差が特に発生していた。
ジャイロセンサーや地磁気センサーに影響のある埋設電線でもあるのかな。

2015年2月14日土曜日

2015年2月10日火曜日

3DVRゴーグル タオバイザー 届く

3次元デジタル復元など詳細に記載されている書籍”九州装飾古墳のすべて”など毎日のように何か届いてる中、期待していた3DVRゴーグル タオバイザーが届きました。

タオバイザーのHPはこちら

















日本国内で入手が容易なVR系HMD?には、Oculus(DK1、DK2)、ハコスコ、GoogleCardboard準拠HMDとあります。SonyのProjectMorpheusや東大ベンチャーのFOVEなどもありますが、一般に手が届くのは前述の3種類。お小遣いでも簡単に手の届くのはハコスコ、Cardboard準拠になります。
(適合サイズのスマートフォンを持っていることが前提)
どちらも私が使ったものは紙で出てきており、使用後のあぶらとり紙みたいになってしまいました。
持ち主以外は当然気にしますので、なにか改善されているものは無いかと探していたらタオバイザー(おかわり)のクラウドファンディングに遭遇。早速、ポチリ。
(クラウドファンディングを例えるなら、お肉の送られてくるふるさと納税です。)

折りたためること、ある程度強固なことを両立しているものは珍しいと思います。
また、会社様がこのアプリを使ってみたという生の情報を発信しているのは強みですね。
さぁ、Oculusのセッティングが面倒なときの主力となるのでしょうか。


やってみること
Thetaで撮影した石室全天球をタオ360でどのように見えるか試す。
3Dフォーマットに対応しているGoogleCardboard準拠ビューワで、作成した石室がどういう風に見えるか試す。
念のため、Sketchfab登録の石室(Oculus対応版)がどのように見えるか試す。


3番目まで動くと石室VRの啓蒙!?が楽になりますねぇ。


早く試したいけれど時間が・・・ない。

2015年2月5日木曜日

Sketchfabの使い方_OculusRiftを使ったバーチャル石室見学

ここではSketchfabに登録されている3Dモデルをバーチャルリアリティ向けのヘッドマウントディスプレイ”Oculus”で閲覧する方法を解説します。
立体感のある閲覧ができるのはOculus DK1もしくはDK2をお持ちの方のみとなります。

VR_HMD OculusRiftについては公式HPのこちらを参照ください

SWketchfab公式のOculus対応方法記事はこちらを参照ください。

Sketchfab自体を 閲覧できる環境かどうかはSketchfabの使い方_3Dモデル閲覧_その1を参照して確認してください。

なお、Oculusは右目左目それぞれに”立体であればこう見えるだろう”ものを常に計算して表示するものです。小さなお子さんのような十分に眼の機能が発達していない方や逆に目の機能が衰えている方には問題を起こす可能性もあるため注意してください。
また、見えているものと体感(加速度など)がずれる為車酔いしやすい方は特に注意です。
私は、バーチャルジェットコースター閲覧中に酔いました。



Sketchfabに登録された石室をOculusで見る方法

















SketchfabコンテンツのURLの最後に ”/embed?oculus=2”または”/embed?oculus=1”を追加するだけです。
初期のOculusを一般にDK1、昨年のものをDK2と呼びそれぞれ1と2に対応します。
私がよく使う短縮URL(例:sketchfab.com/s/CLY6)の最後に追加しても動作しませんでした。


残念ながら、Sketchfabではバーチャル空間でどちらの方向を向いているか判別するヘッドトラッキングや頭の高さ検知機能は動作しませんので、通常のSketchfabコンテンツと同様にマウスやキーボードで操作する必要があります。

注意点
  • Sampleなどを使用してOculusが正常動作することを確認する。
  • ブラウザやSketchfabコンテンツは最大化する。
  • OculusDK2で左右の映像がずれて見える場合はDK1互換モードを試してみる
  • 私が登録したすべてのコンテンツがOculusで動作していることを確認はしておりません。

以下は確認できたコンテンツです。
通常のブラウザでどのように見えるか試してみてください。

石貫ナギノ横穴群8号入口_OculusDK2用URL