2013年の12月ごろ、全天球写真が撮れるカメラが出るというので早速購入したTheta。
当時GoogleStreetViewのような全天球写真は、全方向の写真を撮影、その後アプリで組み合わせるという手法で非常に手間のかかるものでした。
画像はそれほど良くないもののボタン一つで撮影できるというのがこのThetaになります。
(全天球写真、360度写真、Phtosphereなどぐるっと見渡せる写真の統一名称は無い状況です)
リコー Thetaの詳細
僅か十数センチ、100gを切る重さ。
いまどきのスマートフォンよりかなり軽く取り回しは良いです。
ボタンを推せば”ヒョイッ”という音がして撮影完了。
古墳のストリートビューを取る際には、スマートフォンをリモコンにして隠れて撮影します。
良い点と悪い点をざっくりと羅列。
○良い点
・とにかく撮影が楽。
小さくて同じく小さい三脚等に乗せるとどこにでも置けます。写真を組み合わせるタイプだと撮影できないような場所もThetaだと楽々。1脚に載せて少し高いところや危険そうな穴もOK。スマホをシャッターリモコンに出来るので、10mくらい離れて隠れることも可能。
・StreetView登録までが楽
撮影した全天球をThetaのPC用アプリで一度読み込み、天頂補正書き出しを選択するだけ。あとは、googleのPhotoSphere登録のサイトに放り込めば数日後に許可がでてMAPに表示されます。
・撮り忘れがない(石室)
石室内の写真を普通のカメラで撮影するとどうしても撮影し忘れが出てきます。切れ目ないStreetView用の全天球写真を撮影しておけば、完全ではないもののその恐れを低減できます。
比較的小規模の石室でも奥壁、天井、側壁左右、玄門、床面を含めようとすると最低でも3~4回は撮影が必要になると思いますが、Thetaだと1回でその情報が記録できるというのは大きいです。
写真例:上福田岩屋古墳
×悪い点
・画質が良くない
全天球で約1200万画素程度の解像度。部分部分を切り出すとかなり荒く見えます。構造や顔などの判別がちゃんとつくのは2m~3mというところが限界でしょう。撮影時に気をつけていれば、後から写っている人の顔をそれほど気にしなくてもいいということでもあります。(Google社並みの高解像度だと人の顔/看板/ナンバープレートなどいろいろなモザイクが必要になる)
・光の明暗に弱い
石室ではどうしてもなりがちな奥が暗くて開口部が明るい。または、真っ暗で照明が少ないという状況になります。二枚の魚眼レンズを前後に備えている構造からどちらかの光量に合わせてしまうため、光源やカメラ方向などうまく調整する必要があります。
写真例:奈良古墳群10号墳(側室ありの特殊形状 開口部に日光、側室はほとんどひかりが届いていない状況)
・全天球写真なのでなかなか逃げ場が無い。
手持ちや自撮り棒ではほとんどの場合、撮影者が写り込みます。また、リモート撮影にしても、めちゃくちゃな距離は離れられないので、隠れられるところが限られてきます。まぁ、写らない様に考えるのも面白いのですが、偶に失敗します。スマホでリモートシャッターが切れたのと実際にシャッターがきれるのにWi-Fiの状況によっては少しタイムラグがあるのかもしれません。
隠れたつもりになっている例:下山古墳 石棺前(将来心霊写真扱いか)
全天球の動画が撮影できるようになった最新バージョンTheta m15も少し安くなって発売されていますが、今のところ全天球動画の使い道が思いつけていないのでしばらくは初代のままかと思います。
類似の機械で海外のものも含めると以下のような物があります。
・Panono Thetaの10倍ほどの解像度。海外物で国内個人レビューがほとんど無いのと価格がThetaの倍以上するので、敷居が高い。
・SP360 360*214の不完全な全天球。アクションカメラ指向なので、自身が写らないように出来ることを考慮しているのかも。ヘルメット前につければ、古墳見学動画もばっちりなはず。
そして、実はスマートフォン単体でも全天球写真は撮影できます。
(iOS7以降?アプリ追加、Android4.3以降Google標準カメラ)
他の方の撮影ですが、やはり横穴墓。
例:石貫穴観音横穴群
非常に高解像度で綺麗です。横穴墓の一部にぼやけたところがあるのと開口部に変な段差がありますが、スマホで全周を撮影するとセンサーの誤差が累積していき、最後のつなぎ合わせをソフト的に画像を誤魔化しているのだとおもいます。モバイル3Dスキャナにも同じような現象があるので、加速度センサー/ジャイロセンサー/地磁気センサー等の限界なのかもしれません。
Theta以外にも全天球写真が撮れる機器を紹介しましたが、Thetaも動くスマホも大きな電気屋であればあると思うので試してみてから購入することをお勧めします。
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